高脂血症における治療法別費用効果分析
  −栄養指導における医療費削減効果−
           足立香代子  せんぽ東京高輪病院



【目的】食事療法が薬物療法・併用療法に比べ,医療費軽減効果のあることを示す目的で,外来の高脂血症患者のCost Effectiveness ratio(費用-効果率)を分析検討した。

【対象と方法】対象は,1年間外来にて,高脂血症(TC≧220mg/dl・TG≧150mg/dl)の治療を3か月以上行った例とした。このうち,食事療法を第1選択とした栄養療法群(N群)83人・年齢57±12歳と、無作為に選択した薬物療法群(D群)20人・年齢65±11歳,更に栄養薬物療法併用群(N−D群)17人・年齢59±13歳の別に選択した。方法は、Mark・Wilsonらの費用効果分析法を参照にして,全対象者に対して医療費(費用)と関係すると推測された項目〔生活習慣病とそれに伴う疾患治療のための全薬物料と処方箋料、調剤料、栄養指導料(月1回当たり1,000円)の医療費の総和〕について検討後,TC>220mg/dlの高TC例と、TG>150mg/dlの高TG例、更にはTCが<260mg/dlと≧260mg/dlの別,年齢別(<65歳、≧65歳)も併せてみた。年間費用・薬物数と各変数の関係は重回帰分析を行った。

【結果】全対象における年間費用は,合併症の件数・薬物数と相関し,N群では42,122円となり,N−D群・D群と比べ約9〜10万円少なかった。高TC例全例では,治療法によるTC低下率には差異を認めなかったが,治療前のTCが<260mg/dl例のN群が−14.8±10.9%で,D群の−4.7±9.7%に比し明らかに大きかった(<0.04)。N群ではN−D群・D群に比べてTC≧10%低下者の割合は7〜8%多く,費用効果費(図)は61,748円となり,約14万円〜16万円少ない費用で効果が得られた。10,000円当たりで得られる効果者の割合もN群では16.2%で,ほかの治療法より約11〜12%多く,効果者を1%作るための費用は617円となり,約1,400〜1,600円少なかった。TC<260mg/dlの例ではN群がD群に比し低下率が大きく,<65歳では≧65歳に比べて年間費用は少なかった。高TG例におけるTG低下率は,各治療法間に差がみられなかったが、N群・N−D群ではD群より多い傾向にあり,TG≧10%低下者割合も栄養指導を行った群で多かった。その結果,費用効果費は,N群では54,367円で,N−D群より約8万円少なく,D群に対して約18万円少ない費用で効果を得た。年間費用・薬物数と各変数との関係は表に示した。













【考察】治療前のTC<260mg/dl、<65歳,高TG例に対するN群では,N−D群・D群に比べて安価で大きな効果が得られ,冠動脈疾患、重篤な合併症がない限り、食事療法を第一選択肢にすることにより医療費削減が図れることが示唆された。




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